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君の後ろを歩いていた
ぬるい風が強く吹く夜
たった一昨日の夜
もう二度とはやって来ない夜
君の赤い髪が揺れていた
振り返った君と目が合った
君は安心したように笑っていた

今この瞬間に死んでしまえばいいと願った
あまりにも幸せだったから
自分の時間を永遠に止めてしまいたかった
未来なんて見たくはなかった
風が強く吹いて
前髪で前が見えなくなった
君は先を歩いていた

人間が聴覚で得る情報は
たったの11%だって
その意味が痛いほど分かった
久しぶりに会った君は
僕の目をよく見るようになっていた
そして僕に何度も問いかけた
「きみはどうしたい?」と
その度に瞼の裏で過去の自分を想った
何をするべきか操るかのように
全て決められていた自分を想った
誰も言ってくれなかったその言葉を
こうも易々と言うのかと
本当は少し泣きそうだった

愛とは何だろうと
心の中で何度も問うた
君といつか結ばれる誰かの
愛の方が僕より強いだなんて
なんて理不尽なんだろうかと腹が立った
君の幸せを願いながら
君の願いが叶いませんようにと
祈る自分の小ささを殺めたかった
誰かが僕を見つめる視線を何度も感じた
そんなものに何の意味もないと思った
その中から僕が誰かを選ぶことは
きっとないだろうと苦笑していた

9/19/2023, 3:30:58 PM