"時を告げる"
用事を済ませた後あの時計塔に自然と足が向いて、公園のベンチに座って時計塔を眺めていた。不動を貫く威厳と、公園で遊ぶ子ども達を見守る暖かさという相反するものを持ち合わせるレンガ造りの時計塔を眺めながら、頬を撫でる風に季節の変わり目を感じる。もうじきこの公園を囲む木々が赤や黄色に色付いて、そうすればあの時計塔の雰囲気も変わるだろう。なんて考えていると
──ゴーン、ゴーン……
時計塔から、鐘の音がした。塔の時計を見ると、針が11:00を指し示していた。そろそろ帰らなければ。腰を上げて、体を公園の出入口に向ける。数歩歩いた所で時計塔に振り向いて
また来るから。
と、心の中で呟きながら微笑むと、また体を公園の出入口に向けて帰路についた。
9/6/2023, 10:52:41 AM