鳥かご
捕まえられて、囚われて。一生この鳥かごの中で過ごすのだと思えば、抜け出したくて仕方がありませんでした。
そう嘆き悲しんでいると、その人はそっと鍵を開けました。
「いいよ、行って。逃げて、いいよ」
不気味なほどに優しく微笑んだその人から、逃げるようにかごから飛び出しました。逃げて、逃げて、走って。やっと訪れた自由を心から噛みしめて喜びました。
少し経って、私はなぜかまた同じようにその人の元にいました。連れ戻されたわけではありません。自分の足で来たのです。
「おかえり。戻ってくるって、思ってたよ」
そう微笑んだその人は私をそっと抱きしめました。
ああ、きっと最初から鳥かごなんてなかったのです。もうずっと前から囚われたままなのですから。
7/25/2023, 1:45:20 PM