手紙の行方
3ヶ月に一度
6年前まで定期的に開かなくてはならないなんて煩わしいものだとばかり思っていたこともあった、と古い記憶を思い出しながら、赤いフラッグの下がった青いポストを今にもスキップをしたい衝動に駆られる程胸を弾ませ開ける。
習慣として身についたこれは、今やカレンダーにつけられた不格好なスマイルマークを見なくても自然と行うようになった。
互いに多忙で...いやそれ以上に易々と行き来できる距離でも、立場でもないということで始まった文通。どれだけ忙しくても決まった日に向こうに届くようにしている。
一時はあまりに深い憎悪と殺意まで抱かれていたが、全てを打ち明け和解した後は似たところもあり年齢もそう遠くは無く聞き上手で多くの知識と教養もあるため話しやすい、と来ていたた彼と今では数年前とはまるっきり違う知己のような...そうだ、彼が言うには...竹馬の友?のように親しい友となった。
そしてまた3ヶ月たった今、ポストに手を伸ばそうとする。
その時、郵便屋の車がすぐ近くで止まり、車から降りた配達員と思しき男がこっちに走ってきて言った。
「配達物を間違えていたから取り替えさせて欲しい」と愛想良く。
帽子を目深に被っている、19くらいだろうか?
随分若く思える気ももっと上のような気もする
──得体の知れない、悟らせないようにしているような雰囲気さえ感じる。
だが───何故か自分は知っているような気がした。声に聞き覚えもない、というかよく居るような声だ。そんなはずは無いと思いながらも。
気を取り直しどうぞと応え、ポストに目を向ける。
その一瞬、ほんの一瞬だ。
・・・・・・・・
たった今そこにいたはずの男が、居なくなっていた
代わりにすぐ側に立っているのは──
色黒の肌
輝いてさえ見えるブロンドの髪
そして───
帽子の下からこちらを見つめる瞳は青!
あぁどうしようか!
手紙は向こうに出してしまった!
2/18/2025, 12:39:20 PM