小絲さなこ

Open App

「星が拗ねる」



カーブを描きながら、バスは山道を一定の速度で、ぐるりぐるりと降る。

遠くに見える夜景。
月が見えない日。


「街が明るいと、お星さまは拗ねちゃうの」

懐かしいことを思い出した。
我が母は、なかなか可愛らしいことを言う人で、私はそんなことあるわけないと思いつつも、母に合わせていたものだ。


街の明かりは光の海のよう。
その海へ向かって走るバスが揺れる。




────街の明かり

7/8/2024, 2:28:21 PM