2周目LIFE

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【街】


田舎育ちのワタシからしたら
それは「夢の国」であった

運転免許のない毒母が
わざわざそのような所に
連れて行く理由などない

子ども嫌いで、土日は休みなどない
車を綺麗に保ちたい毒父が
乗り物酔いをするワタシを
どこか遠くに連れて行く理由もない

そんなワタシが【街】を知ったのは
中1の時だった
姉が都会で一人暮らしを始めた
お嬢様の姉があれこれ出来るわけがない
長期の休みの度、
1人でバスとJR、地下鉄を乗り継ぎ
中1のワタシが姉の世話に行った
ご飯を作ってあげたり、掃除したり

勿論、こちらも黙っては帰れぬ
姉の仕事中、CDをMDに永遠と
録音させて頂いた

今の時代なら恐ろしい光景だが
姉が降りる最寄りの駅まで
何時になろうがお迎えにあがった
その道中、
まだ暴走族とやらもいた時代
恐ろしい爆音とヤンキーたち

よく絡まれなかったと…
今なら自分を感心する

だがやはり都会だ…
中1の夏、本屋で痴漢に遭った
誰かが屈んだと思った瞬間
脚を舐められた…

だが誰にも言えなかった
こうやって泣き寝入りするんだろう
というより
頭の整理が追いつかない方が正しい
何が起きたのか?
それが痴漢だと気がつくまで
時間を要した…

そして、毒親にも毒姉にも言えぬまま
30年が過ぎた

【街】は確かに人が溢れていて
沢山のものも溢れている
間違いなく「夢の国」ではあった
だが、同時に田舎にはない
危険なことも多々あることを知った

今、その都会に近い場所に住んでいる
が、いまだに
あの頃の恐怖も拭えぬままでいる

明るいうちに時々行くからいいのだ
ワタシの住むべきところでない

6/11/2024, 11:48:37 AM