幸太郎

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誰よりも、ずっと幸せになりたい。
そう思っていた。
誰よりも先に手に入れようとした。
相手を押しのけることに必死になった。
そして勝ち誇る。
競争に負けた相手を見下した。
「残念。こうゆう日もあるさ」
と、隣で負けた男が子供に言った。
子供は駄々をこねている。
「お昼はレストランで大好きなハンバーグよ」
と、男に寄り添う女が言った。
子供は不満ながらも大人しくなった。
そして二人の手をとって歩いて行った。
私の手には戦利品が握られている。
そこには幸せの証があるはずだった。

4/10/2024, 4:34:37 AM