こどもの頃よりもうんと視点が高くなって、
下を向いていても見える範囲はずっと広い。
ぴかぴか光る広告のスポットライト。
合間を縫って存在するは確かな暗がり。
点々と空に舞うざらめの輝きと、ちょっぴり欠けたカルメ焼き。
最後に見たのは理科室、黒い机のうえ。
周りは光を吸われてほんのり暗く、
かと思えばぼんやり明るい。
あいまい。あいまいだなあ。
こどもの頃見た夢、背(せな)に雨。
とっくに隠れたあまいカルメ焼きが、また食べたい。
/ 月に願いを
強い光のもとにはかならず深い暗闇がある。夜道をひとり歩いていてふと私は気がついた。足元を照らす電子の光と、膝が防いだ黒い黒い影。光は照らす限りぼんやりずっと同じ形でも、足の影は歩くとくっきりかたちが変わる。前へ進む度に影のかたちが移ろう。いい方向に進んでも、結局そばには姿を変えた闇がある。
5/26/2024, 10:47:17 AM