──力を込めて息を吹き込んで。
頼りになるんだかならないんだかよく分からない先輩は、そんな風に言った。
実際、リコーダーを吹くような感覚でいると全く音は出ない。肺活量があって、ようやく「プヘェ~」という、気の抜けた音が出る。
息を続けて、唇でそれを楽器に伝えて、指で音階を整えて、管楽器は演奏される。
なので、先輩の「力を込めて」というアドバイスも間違ってはいない、はず。
なのでその力をつけるために走り込みに行く。吹奏楽はタフネスだ。
少しでもきれいな曲を演奏できるように。この三年間に何か残せるように。
10/8/2023, 1:14:48 AM