月凪あゆむ

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幸せとは

「ねえ、しあわせってなあに?」

 それは、夕方6時の、テレビでやっていた特集のタイトルだった。
 それをそのまま、4歳の姪っ子に聞かれたのだ。

「なんだと思う?」
「よくわかんないから、おじちゃんに聞いてるのー!」

 ふむ、と少し考えてから。
「そういうのは、自分で見つけるものなんじゃないかい?」
「なによ、もういいっ!」
 答える気がないとわかった姪っ子は、次は自分の姉に聞きにいった。

 姪っ子の背中を見つめながら、よくよく考えてみる。
 自分には、家族がいる。
 ……いや、「大切な人たち」というほうが正しいか。
 自分は独身だが、そこはあまり気にはしていないし。
 こうして、姉弟も、姉の家族も、そして両親も生きている。

 腹がへれば、食べることができて。
 のどが乾けば、飲み物が飲める。
 眠くなれば、布団で眠れるし、風をしのぐ窓もある。
 そして朝は、姪っ子たちのケンカで起きることになる。
 そんな、当たり前に過ぎていく正月。

 その「当たり前」は、幸せで、なんと贅沢なものか。

1/5/2024, 3:42:24 AM