ほろ

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多分私は、ウェンディにはなれないのだと思う。
ネバーランドに行ったら最後、戻って来ないだろうから。
「皆さん、拍手で迎えましょう!」
司会の声がして、会場内が拍手で埋まる。会場入口の扉が開け放たれ、友人とその旦那が ──新婦と新郎が入場してくる。
おめでとう。お幸せに。あちこちからお祝いの言葉が飛ぶ中、私は拍手もまばらにジッと友人を見ていた。ピンクの髪飾りをふんだんに使って髪を盛った赤いドレスの友人は、まるで知らない人のようだった。

皆、大人になっていく。知らない人になっていく。
私はまだ、明日のテストの話だとか、部活をサボろうだとか、そんなくだらないことばかり言っていたあの頃にいるのに。周りは私を置いていく。
どうして、大人にならなければならないのだろう。どうして、子供のままでいてはいけないのだろう。

拍手が収まる頃、私は会場を出た。エントランスホールのソファーに座る。
煌びやかなのに誰もいないそこは静かで寂しくて、今の私のようだった。

12/19/2023, 2:50:59 PM