私の当たり前があんまり世の中に通じないのが分かったのは社会人になってから。
学者の家で育った私は頭でっかちで、ややもするとストイック過ぎた。
周りの人が恋愛やアフターファイブを楽しんでいる時に図書館に行き、自炊をして早く寝ていた。
そんな自分は嫌いではなかったけれど、同僚との距離は広がるばかり。たまに誘ってもらってもひたすら疲れるばかりで楽しめない。
あなたは周りの人を下に見ている、と言う人もいた。そんなつもりはなかったのだけれど。
ある人に出会った。私よりふたまわり年上のその方は大きな神社の次男さんで、若い頃の苦労を越えた笑顔が印象的だった。お酒も好きだし、冗談も言う。だけど全く品位を崩さない。まわりの酔客を優しく嗜める。
こんな人になれたらいいな、と初めて思った。
まだまだあの方の様にはなれないけれど、人生に小さな灯りが灯った様で、私は少しだけ生きやすくなった。
7/9/2024, 10:33:40 AM