Ree🍁🌙*゚

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【刹那】

※同性愛などの描写が含まれます



長い長い夢を見た

とても楽しい、はずだった

あんな事が起きなければ…

俺は友達と楽しく話して学校から帰る途中だった。いつもは、小学生からの親友の優太と一緒に帰るのだが、その時は、高校で仲良くなった友達、茜(あかね)と明(あきら)、香織(かおり)と一緒に帰っていた。

「雪、今日、優太は?」
と明が言った

「今日は先に帰った」

「そ、…今日何する?」と香織が言った

「今日は…」

「どうした?」

明と香織と会話をしている時、横断歩道の上にいる優太が目に入った。

何をしているのだろうと思って様子を見ていると突然、後方から大型トラックが優太の方に進んで行った。

歩行者信号は青だった。

俺は声を出す前に体が動いていた。

止まることの無いトラック、恐らく運転手が居眠り運転でもしているのだろう。

「おい、雪!」

明の声なんて今はどうでも良かった。

助けないと!優太を!

「優太!」

手を伸ばした、つき飛ばそうとした。
けれど、その手は、優太に掴まれた、優太は俺を庇う様に抱きしめた。

その刹那、俺と優太はトラックに跳ねられた。

一瞬の出来事、なんでこうなったんだ、もっと早く俺が、いや、一緒に帰っていれば……

「ゆう……た」

頭が痛い

意識がゆっくり途切れていく、俺か、いや、優太の血か…嫌だ、まだ…

まだ…

耳元で声がした



「ごめんな、雪、俺ダメだ、まだ………に……の…………だよ」

優太が何を言ったのか聞き取れなかった、視界が真っ暗になって、何も聞こえなくなっていった。

いかないで、優太

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目を覚ました

見慣れない天井、慣れない香り。

「目、覚めたんだ」

そう、誰かが言った。声の主を探して視線を動かすと、隣に女性がいた。

「だれ、君?」

彼女の事は知らない。いや、覚えていないと言った方が正しいだろうか。

「そっか、やっぱ覚えてないよね…雪くん」

雪くん、どうやらそれが俺の名前らしい

「君は、前の俺を知っている、のか?」

「うん、知ってるよ、雪くんはね、誰にでも優しくて、運動神経も良くて、友達がいっぱいいるの!」

「そうか…今の俺とは真逆だな、そういえば、君の名前はなんて言うんだ?」

「私?私はね、私の名前はあかね、みそら あかね」

みそら あかね

それが彼女の名前…。

後で聞いたが海空 茜と書くらしい。
どこかで聞いた事があるような、それでも何も思い出せない。

全然、気にならなかったがなぜ俺はこの場所...病院にいるのだろう。

「なあ、茜、俺はなんでここにいるんだ?」

と聞くと茜はとても悲しそうな顔をした。

「交通事故、にあったんだよ…君は優しいから友達を助けようとして、その友達は男の子でね。でも、その子は死んじゃったの…君の親友だったのに」

「なんで、死んだんだ?」

茜の表情が段々暗くなっていく、
聞かなければよかった…。

「君を庇ったんだよ…」

俺を庇った?

「……ごめん」

なぜか謝った。

「雪くんは、雪くんは……悪くないよ、悪いのは、居眠り運転してた方だよ!だから、だから!」

耳鳴りがした

頭が痛かった

「うっ……」

「あ、ごめん、大丈夫?私、今日はもう、帰るね、私ね、実は███くんのこと好きだったの…
じゃあ」

好きか…

よくわからないな、今の俺には…

「ああ、またな…」

病室が静かになった。俺以外誰も居ない、そのはずなのに、誰かが言った。

久しぶりに聞いた声

【「ごめんな、雪、馬鹿だ、お前に本当のこと言えずに、死んじゃった、雪、俺、お前の事が…
…好きだよ……って言っても聞こえないか」】

誰だよ、君は、知らない、思い出せない、なのになんで

俺、泣いてんだよ

なあ、好きだった…

好きだった、君は一体誰なんだ!

4/28/2023, 1:23:32 PM