#子猫
雨が降る冷たい夕方
波紋の広がる水溜まりの静けさを
ローファーがかき消していた。
雨の音が傘をつたって手に伝わる。
ローファーによって跳ねた水が足にまとわりつく。
うねる髪をかきあげて、ふと足元を見た。
淡い水色の傘が立てかけてあり
端からダンボールが覗いていた。
まさかと思いしゃがみこんでダンボールを開く。
そこには予想通りの黒いブチの子猫がいた。
私を見てミィーミィー泣く子猫は
まだ手のひらほどの大きさだった
私は子猫に手を伸ばす。
何となく思った。彼女が帰ってきた。そう思った
腕に抱き、家への道のりを歩く
家に着くと家族は子猫を歓迎してくれると思う。
何より、
彼女ーちょうど一年前に逝ってしまった愛猫
彼女はこの子猫に似ていた。
きっとこの子は、私の凍りついた
心を溶かしてくれる。
願いを振り絞って私は1歩1歩歩いた
11/15/2024, 10:56:04 AM