優しさだけで、きっと。
決意を固めてからの私は、毎日のように寮長室に行っては玄関の前に立ち尽くす生活を送っていた。
いざ目の前にすると、氷のような鋭く冷たいドアから、
寮長の気配を感じ取って怖気付いていた。
なんと情けない、寮長に、嘘にこだわる理由、
正義感の振りかざし間違いを正そうとあれほど意気込んでいたのに、
今日も扉の前でノックもできずに佇んでいると、
1人の寮生が話しかけて来た、
「あんた、毎回寮長室の前で立ち尽くしてなにしてんの、入りたいなら入ればいいじゃない?」
例の魔女狩りされた子の仮友達であった、
美鳥瀬奈(みどりせな)だった。
「いや、その、えっと」
なんて言おうか戸惑っていると、美鳥はこう言った。
「あんたみたいなのがいるから、この寮陰気臭いのよ」
嘲笑いのターゲットを私に変えたように美鳥は声高らかに行った。
「私は、もう何人ものルームメイトと友達になったわ、あんたは一人もいないんじゃない?友達と呼べるような人が、可哀想ね」
「それは、、、」
たしかに正しかった。私には友達がこの寮にはいない、
話しかけてくれる子もいなかったから、
でも、それでも、私は、
ガタン
寮長室の扉が開いた。
すごい形相の寮長が私たちを見下ろして
「私の部屋の前で何グダグダ喋っている」
「寮長、これはですね、こいつが、寮長に歯向かおうと、寮長の座から引きずり下ろそうとしているんですよ」
「違う、私はそんなこと!!」
ビーーーーーー
グリップの音だ、
美鳥のはめた嘘発見器のグリップが赤く光っていた。
「美鳥、明日は君かな」
寮長のあの薄気味悪い笑顔がまた横を掠めた。
5/2/2026, 1:42:41 PM