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目が覚めると

部屋がぐちゃぐちゃに散らかっていた。
思わず頭が思考を停止し、ぼーっ、とその様子を眺めていると、凛とした声が僕を呼ぶ。


にゃあ


やはり犯人は君だったのか、と少しむっとした顔で彼を見つめるも彼は何処吹く風、しっぽをゆったりと揺らしながら、ツンと済ました表情でそっぽを向く。

その姿にやれやれと思いながらも部屋を片付け始めると、再度『にゃあ』と声が聞こえる。
少しは反省してくれ、と此方もツンとそっぽを向くと彼は此方に近寄って、手に擦り寄り始める。
思わず撫でそうになる手を必死に抑えながら、その攻撃も通用しないぞ、と無視をする。
すると彼は、ごろんとお腹を見せて此方をじっと見上げ、にゃぉ、と甘えた声で鳴いた。

これはダメだ、反則だろう。

思わずふふ、と笑い、頭を撫でてやるとごろごろと嬉しげに喉が鳴る。その姿のなんと愛らしいこと…



これもきっと彼の作戦なのだろうが…やはり僕は、どうやっても彼の可愛い攻撃には耐えられないらしい。

あぁ、きっとまた目が覚めたら、部屋が荒らされている日があるのだろう。明らかに目に見えている。しかしその度に、こうして許してしまうのも目に見えてしまっている。そんな自分に少々怒りたくなってしまったのは、また別の話。

7/10/2024, 10:17:04 AM