towa_noburu

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ずっと日陰だけを歩くような人生だった。
今更日向に出ようとは思わない。思えない。
ただ僕は街の木の隙間からわずかに差し込む光だけは昔から嫌いじゃなかった。
薄暗い街の隙間に息苦しそうに生えている桂の木。樹木医に見せたら、深刻そうな顔をするかもしれない。
桂の木の木漏れ日はどこか憂いを帯びた顔をしているが、その陰りが僕には心地よかった。

陰鬱そうに、街を見渡す桂の木。
息苦しいか、苦しかろう。
なあに、僕も君と同じだよ。
決して、この街からは出れないが
生ある限り根を張ろう。
命潰えるその日まで。

1/29/2025, 10:47:55 AM