とある恋人たちの日常。

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「どこ行こっか」
「なにしましょうかねぇ……」
 
 今日のデートはどうするか。車の中で相談しあっていた。すると、青年はパッと明るい顔をして、車を走らせる。
 
「どこへ行くか、決まったんですか?」
「うん、任せて!」
 
 きっと彼女なら喜んでくれる。そう確信している青年の笑顔と、喜ばせてくれる気だと理解している恋人の彼女。
 
「今日はね、雨が降っているから、室内で楽しめるところ!」
「え!? どこですか!?」
「へへーん。楽しみにしてね!」
 
 青年の弾む声に、彼女も同じように期待を膨らませている。
 
「……ありがとうございます」
「ん?」
「いつも、色々連れて行ってくれて」
 
 わくわくした声から、少しだけトーンを落として彼女が言葉を紡ぎ始める。
 
「あ、いいの、いいの。一緒に色々行くのが、俺の楽しみなんだから!」
 
 青年は職場に籠りっきりの彼女を連れ出すのが楽しみなのだ。
 それでも、遠慮してしまう彼女だと、青年は大いに理解している。青年は車を端に寄せて駐車して、彼女に視線を向ける。
 
「だからね、俺と一緒に遊びに行こう」
 
 彼女の手に青年は手を重ねると、彼女も握り返してくれた。
 
「はい、沢山連れて行ってください。私も何か知ったら連れていきます」
「うん、楽しみにしているね!」
 
 青年はどうしようかなと、少しだけ迷った。
 それに気がついた彼女は、何に迷っているのかと首を傾げる。もう、その姿が可愛らしいのに。
 
 ほんの少しだけ視線を逸らしたかと思うと、青年は軽く彼女の唇に自分のそれを重ねた。
 
「!?」
「じゃ、じゃあ、行こうか!」
 
 再び車を走らせる青年の顔は、とても熱かった。
 
 
 
おわり
 
 
 
手を取り合って

7/14/2024, 11:43:52 AM