嘘、嘘、嘘。
私は昔から嘘が大好きだった。
幸せな嘘だけじゃなくて
小さな嘘から大きな嘘まで。
ずっとつき続けてきたものだから、
信頼を失うだとか、
友達がいなくなるだとか言われ続けたけど、
本当の自分なんか
自分だけが知ってればそれでいいという
塞ぎ込んだ性格だったから
全く聞かなかった。
偽りのない約束をしたのは
白髪の少女に出会ったその日のこと。
バス停でバスを待っていた時、
白雲峠から来たんだ。なんて
自身の話を突然し始めた白髪の美しい少女。
おかしい人か、宗教勧誘か何かの人だろうと思い
無視することにした。
けど、
キミ、虚言癖持ち?
なんて言われたら
興味には少し足りない感情を抱くのは
不思議では無い気がして。
思わず耳を傾けてしまう。
ボクさ、キミの嘘どうかと思うんだよね。
そのうち一人で死にそーじゃん?
だからボクともう嘘つかないって
約束して欲しいと思うんだけど。
私から出てくる言葉に偽り以外の文字は無いと
十分承知だったのだろう。
ちなみに、破ったらキミのこと丸呑みしちゃうからね。
ボク、オオカミなんだ。
嘘だとすぐに思ったけど
どこか嘘では無い気がして。
それに、
本当の約束というものをしてみたかった私は
少女と約束をした。
じゃ、破ったらすぐ来るからね。
と言った少女は
本当にオオカミになり
四足歩行でどこかへ行ってしまった。
"Good Midnight!"
これが人生で初めてにして最大の約束。
どんな嘘もつけないというのは
骨が折れるほど辛かった。
でもまだ、
まだ丸呑みされるくらいの人になってないから。
少女が丸呑みできなくなるぐらい
いなくなったらすぐわかるような大物になろうと
私には似合わない目標を持って
嘘をつくために頑張ってきたから。
3/4/2025, 12:37:44 PM