時々ある〝さみしい時間〟。
理由はないけれど無性にさみしいの。
でも、仕事で疲れている彼に甘えていいのか分からない瞬間があって……どうしようかな。
ただ、ギュッとしてくれるだけでいいんだけど……。
「ちかれたー」
そう言いながら、後ろからギュッとしてくる彼。
いきなりでびっくりして、振り返ろうとすると、頬に暖かいものが触れる。
それが彼の唇だと気がつくまで、少し時間がかかってしまった。
「疲れたから癒して」
「え!?」
「え、いや?」
「いやじゃない!!」
そう私が言うと、安心したように強く抱きしめてくれた。
私は正面から抱きしめたくて振り返る。その瞬間、少しだけ力を抜いてくれた。
その時、彼の顔を見る。
身体は疲れていても、精神的に疲れた顔をしてない。いつも彼がギューってしてくるタイミングと違った。
ありがとうございます。
私がさみしいって言えない時だって分かって、そう言ってくれたんだね。
私は安心して彼に抱きついた。
おわり
二五三、やさしい嘘
1/24/2025, 1:27:27 PM