水たまりに映り込む空を見て初めて、雲の形の美しさを知る。見慣れた風景にあるものに、人はいつしか気がつかなくなる。世界から色がめっきり消えて、ようやく失くしたことに気がつき、「懐かしさ」という言葉で諦めを覆い隠す。些細なことで、喜び、傷つき、怒る人間を世間は「繊細」「ナイーブ」と枠に当てはめて笑う。それでも、その感受性を握りしめていられたなら、つまらない大人になどなることなく死ねるのだろう。
6/6/2025, 2:35:46 AM