気まずい
非常に気まずい
とっくにぬるい炭酸と無口な君
時間稼ぎのためにさっきから炭酸を飲むけど、冷えていないせいでちっともおいしくない
もうひとりの友人が戻ってくるまで、あとどれくらいかかるのだろう
君も無口だけど、僕も無口だ
そして、僕たちはそんなに仲良くない
お互い、何を話していいかわからないのだ
さっき席を外した友人がいて初めて、会話が成立する体たらく
僕も君も、一言も喋らない
天気の話でもしようか
いやいや、話題がありませんとアピールするようなものだろう
やめておいたほうがいい
ああ気まずい
気まずさをごまかすように、相変わらずぬるい炭酸をチビチビ飲む
頼むから友人が戻る前に尽きないでくれよ
横目で君を見ると、ポカンと口を開けて、虚空を見つめている
けど、組んだ指で自分の手の甲を無意味にパタパタと不規則に叩いているあたり、君も気まずいと感じているんだろうな
こうなってくると、くだらない用事で一時的に席を外した友人が恨めしい
あいつはこうなることを理解しているはずなのに、どこで油を売っているのか
そろそろ炭酸をチビチビ飲むのも限界だ
そう思い始めた頃、君から状況を打開する素晴らしい一言が発せられた
「あの
ちょっと、戻るのが遅いから見てくるわ」
「え?
あ、ああ、頼むよ」
君の背中を見送りながら、僕は安堵した
気まずく待つくらいなら、一人の状況を作ったほうがお互いのためだ
僕はぬるい炭酸を飲むのをやめて、伸びをしたあと、すぐにスマホを出して動画を見始めた
あとはくつろぎながら、気長に待っていよう
なお、後日友人に文句を言ったところ、二人にすれば仲良くなるだろうと思い、わざと席を外したと白状した
言ってはなんだけど、結果的に無意味な気遣いだったな
ただ気まずくなっただけだから
8/3/2025, 11:21:45 AM