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「もっと知りたくはないか?世界の真理を!」
「別に」
「!」
 青年の言葉に男は驚愕の表情を浮かべる。

「馬鹿な。世界の真理だぞ」
「それがどうした?」
 男は激高するも、青年は涼しい顔で答える。

「真理を知ればこれから起こることが全て分かる。悲劇も回避できるし、すでに起こった出来事を変えることも――」
「興味ないね」
 青年は男の発する言葉に興味を示さず、持っていた剣を構える。
 青年は男を殺す気であった。

「言っても分からんか……」
「言いたいことはそれだけか?」
「見込みがあると思ったのだがな」
 男は懐に忍ばせた銃を取り出した。

 だが青年はそのことにも動じず、逆にニヤリと笑う。
「その代わりに俺の知っている真理を教えてやろう。タダでだ!」
「断る。タダより高いものはない」
「フ……」

 そして両者の視線は交差し、この場に静寂が訪れる。
 緊張感が極限にまで高まり、青年が足を踏み出そうとした、まさにその時――

「やめだ」
 男は殺気を収め、持っていた銃を再び懐へ納める。
 さすがの青年も、この男の行動に動揺を隠せなかった。

「どうした?」
「私も最初は君とやり合う気だったんだけどね」
「リタイアか?」
「いや、気が変わったんだ。君をもっと知りたくなってね」

 男は青年に背を向けこの場を立ち去ろうとする。
「また会おう」
「待て!」
 青年は男を逃がすまいと走り寄り――


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3/13/2024, 9:56:19 AM