指先で掬う。
一瞬、粒の形を成したそれは跡形もなくこぼれ落ち、虚空へと消え去る。
それにはなんの感情も抱かない。
必要ない。
冷たい水の跡が残っている。
────それが、どうしようもなく気に食わない。
だけど、拭うことも出来ない。
ただ、こぼれるだけのそれを、ぼやけた視界で見つめるだけ。
なんでだろうな……。
どうして、あの子じゃなきゃいけなかったんだろう。
選ばれたのが、彼女なら良かったのかな。
そうしたら、彼女に僕と同じ苦しみを味わわせてしまうことになる。
いやだ。
いやだな。
もうすこし、このままでいたいと思うのは……。
4/21/2026, 5:47:22 PM