賑やかを通り越してむしろ騒々しい大通りをとぼとぼと一人歩く。
「失敗した......」
今回は成功するはずだった。今回こそは。
望みを叶える宝箱。それを開けた者には絶対的な力でも何でも授けられると噂される奇跡の箱。
ひょんなことからその噂が本当だと確信した私はここ数ヶ月、ずっとそれを探し回っていた。
そして、つい先刻それを発見するに至ったのだが、このザマだ。
何があったのか等むしろ私が聞きたい。宝箱を開いた瞬間追い出されるが如くいつの間にか街中にいたのだから。探し疲れて見た白昼夢だと言われた方がまだ説得力がある。
その力さえあれば、胸を張って彼らと肩を並べられると思ったのに。
「もう本当...どうすりゃ良いのよ......」
幾度目か分からないため息をまた一つ、ついた。
『どうすれば良いの?』
11/22/2023, 8:11:40 AM