錆びついた扉を叩き続けて握り拳に血が滲む。
助けを呼ぶ声も出なくなって私は力無くベタつく地面にへたりこんだ。
このまま誰にも発見されずに死んでいくのかと思うと呼吸もままならなくなる。
どうしてこんなことに⋯何度考えても答えは見つからなかった。
身体中の水分が抜け落ちた頃、頑として開かなかった扉が異音をたてながら開いた。
「大丈夫ですか!?」
この異質な状況に戸惑いながらも彼女は駆け寄ってきてくれた。
助かった⋯頬を伝っていく枯れていたはずの涙。
私は最後の力を振り絞って立ち上がり開かれた扉へと向かった。
「⋯と思った?」
背後から聞こえた彼女の声だが体力が限界に近いからか聞き取れなかった。ここから出られる⋯あともうすぐで届く希望の光に無我夢中で手を伸ばした直後、後頭部に衝撃が走った。
後ろを振り向くと血相を変えた彼女。手にはハンマー。血がぽたぽたと地面に落ちていた。
理解が追いつかない私は必死に走った。頭から流れる血が顔面を通ろうともガラスか石の破片が足の裏を突き刺そうとも必死に走った。
体力がない上に大量の出血のせいでか足がもつれた私は朦朧とした意識の中で咄嗟に受け身をとる事もできず顔から地面に突撃してしまった。
すぐに立たなきゃ⋯そう思っても身体が言う事をきかない。
背後から足音が聞こえてすぐそばに近寄ってきた。どうすればと考える間もなく腹に蹴りが入り仰向けにされた。
「あんたのせいなんだからな」
憎しみに満ちた表情の彼女の奥には空が見えた。空ってこんなに赤かったっけ。
『空はこんなにも』
6/24/2025, 9:06:09 PM