【63,お題:静寂に包まれた部屋】
そこは静寂に包まれた部屋、なにも聞こえず見えず感じない
白い壁がひたすら続く、虚しく冷たい空虚な部屋
彼女はそんな部屋に1人、いつも虚ろな瞳で空を仰いでいる
何をするでもない、何を思うでもない、ただ動くこともなくそこにある
...キラッ
視界の端で何かが煌めいた、初めて彼女の瞳が反応する
消えそうな程弱々しい光は、ふわふわと上下によろめきながら危なっかしく明滅した
「...おいで」
ほとんど声を出すこともなかったのだろう
初めて言葉を覚えた子供のように、か細い声で呟くと
光は嬉しそうに瞬いて差し出された彼女の手の上に舞い降りた
...ピカッ、ピカッ
「...あなたnジッjshづhbブッw」
「っは、...ゆ...め...?」
白い壁紙の部屋で彼女は起きた、母と選んだ水色のカーテンの隙間から朝日が覗く
勉強机には昨日やった課題が置かれている、彼女は今年で受験生だ
「...学校、行かないと...」
ベットから這い出して、支度を始めればさっき見た夢のことなどすぐ忘れてしまう
「行ってきます」
暗い家の中に呼び掛けて、通学路へと歩を進めた
《あなたの事を信じています》
澄んだ空気の中、青い鳥が踊るように宙を舞っていた
9/29/2023, 2:24:26 PM