俺は誰彼にもあまり興味を持てない人間だと思っていた。
彼に初めて会ったのは高校の入学初日だった。
同じ作家が好きで、
同じインドア派で、
同じ部活に入って。
そのうちに親友と呼べるようなものになった。と思う。
高校を卒業しても偶に連絡を取り合って、その延長線で実際にあって酒を飲んだりもした。
上司の愚痴を言い合って、彼女の話をしたりして。
それが何よりも楽しくてしょうがなくて。
ずっとずっとこのまま時間が進まなければいいのに、と思いながら終電に乗って帰ることを繰り返していた。
家に帰るのが辛かった。
帰ったところで労いの言葉はない。
あるのは罵倒と暴力だけだったから
会社に行くのが辛かった。
何をしても批判ばかりで、成果を上げても上司に掠め取られていったから。
食べることが辛かった。
味もわからない、ゴムのようなそれを延々咀嚼することに意味を感じられなかった。
それでも、彼からの連絡があるたびにその日を待ち通しにした。
彼からの連絡がなくっても、それが来るのを待ち通しにした。
このままでいい。生きるのが辛くっても、彼がいる。
初めてなんだ、なあなあにしないで関わり続けられたのは彼が初めてだったんだ。
本当に初めてなんだ、俺の話を聞いてくれたのは。
馬鹿にしなかったのは。愛してくれたのは。
止まれ。時よ止まってくれ。もういい。
彼が生きたこの時代で終わりにしてくれ。
彼と一緒に終わりにしてくれ。
時間よ止まれ
2/16/2025, 2:47:37 PM