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友だちの思い出とかいう話題が心底嫌いだ。何故なら語れる話を持ち合わせて居ないから。

まず第一に友だちと呼べる人間が居ない。学友は皆知り合い以上友だち未満、ただ偶然同じ年に同じ学校の同じ空間で時を共にしただけの他人だ。
そして二つ目、思い出になどそもそも興味が無い。俺にあるのはただの記憶であり、それらは思い出と言えるほど感情が含まれるものでは無い。

そんな俺にとって友だちの思い出なんて避けたい話題の最上位だ。のらりくらりと何とか躱したが、思う所が無いと言えば嘘になる。

関わりが無くなって十数年、今思うと悪くない奴らだった。詳しく覚えている訳では無いし、あってもなくても変わらない学生時代だった事は確かだ。でもそれでも────悪くなかったと、そう思う。何かが違えばわいわいと喋る奴らのようにキラキラとした思い出があったかもしれない。

とはいえそんな事を言っても今は今だし過去は過去。何が変わるわけでもなければ、相も変わらず思い出に興味は無いし不要だとも思う。我ながら友だち甲斐のない人間だなと独りごちた。

これからも、今までと変わらずこの手の話題は流し躱して過ごすのだろう。



胸の奥底、記憶の隅に確かに存在するそれを認める日。掬い上げられる日は果たして来るのだろうか。

2023.07.07朝「友だちの思い出」#09

7/6/2023, 11:31:37 PM