John Doe(短編小説)

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リバーサイド


そこは、まるで天界の楽園だった。
美しい庭園が無限に広がっており、春のような陽気さえ感じた。
空は神々しいまでに無数の星ぼしがきらめき、夜のように見えるのに、辺りは有り得ないほど明るい。
光のきざはしを昇ると、一本の川が流れていた。
川岸から向こうを見ると、さらに美しい世界が広がっており、何やら音楽のようなものまで聴こえてくる。
川の向こうには、たくさんの白い人が笑顔で並んで座って、楽しそうにおしゃべりしていた。
さて、どうやって向こう側へと川を渡ろうかと私は考えていると、視界はぐにゃぐにゃと歪んでいくではないか。

私は待ってくれと、手を伸ばしたが、間もなくそれらの楽園は忘却の彼方へと砂のように消えていき、目を覚ました私の目には涙が浮かんでいた。
夢なんかじゃない。なぜなら、そこら中に大量の薬の空き箱が散らばり、昨晩、私はあと一歩のところで失敗したのだから。

止めどなく涙は溢れ、私はよろめきながら、まだ記憶が鮮明なうちに、もう一度あの世界へと飛んでいくためにカミソリで何度も何度も手首を切ろうとしていた。

1/10/2024, 1:40:38 PM