星空の下で
「……約束、したもんね」
どこか悲しげな笑みとともに、少女は呟く。
「ごめんね。でも、ありがとう」
少年は、生気のない顔色で、しかし満足げに言葉を紡ぐ。
──この世界からサヨナラのときは、星空の下がいい。
それは、二人が出逢ったときに交した約束。
その時すぐ、死への道を進もうとした少年に、少女は言ったのだ。
──いつか満点の星空の下、貴方にとっての最高のサヨナラをしよう。
本当は、もっと生きてほしかった。
しかし、世界は無情だ。
少年が、ゆっくりと眼を閉じる。
そのまま彼は、世界で一番満足な「死」を迎えた。
少女の涙は。
星空だけが、見ていたのだった。
4/5/2023, 10:42:03 PM