ネジが外れたウサギ

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小学校のときから親しかった同級生の友達がいた。

偏差値がかなり高くて、運動神経も抜群。

その子の親が教育に厳しいから

おしゃれには控えめで、娯楽にも遠慮がちだった。


私たちが最後に会ったのは高校一年生の冬。

お互いに定期テストの期間で学校から帰る時間が早く

偶然、地元の駅で会った。


「久しぶり」

そう言って現れたその子はブレザー姿で大人びていた

私とは違う世界にいる手の届かない人に思えた

でも、話してみるとあの頃と変わらない。

冗談を言って私をからかい、

「あんなことがあったよ」って言いながら、

恋バナに頬を赤らめる彼女。


見た目は変わっても、性格は変わらないと思った。

でも、私の方が変わっていた。

高校入って夏頃から、私は学校でいじめられていた。

自分では気づけないくらい精神的におかしかった。

幻聴が友達だと思ってしまうくらい、

心は壊れていて気軽に話せる人がいなかった。


それをその友達は私よりも先に、

異変に気づいていたのかもしれない。


「大丈夫?」

彼女が怪訝な顔をして私に問いかけたとき、

私はまだ自覚してなくて、その意味がわからなかった


普通に笑顔を作って「大丈夫だよ、ありがとう」

と言ってしまった。

その日、別れ際に初めて持ったケータイの連絡先を交換した。

それから、何度かメールで恋の話で盛り上がった。


あの日から数週間後、私は学校を休みがちになった。

そのことを彼女に伝えられないまま私は一人になった


現在、あの子はどんな人生を送っているのだろう。

噂では色々聞くけど、本当のことはわからない。

元気にしてるかな?

きっと、彼女な素敵な旦那さんに出会えて

恵まれた生活を送っていると思う。

私とは正反対のような「普通」の人生を。


もし会えたら、

どうでもいい話で盛り上がって笑い合えるかな。

もし会えたら、

「やっぱり大丈夫じゃなかったよ」って言おうかな。

もし会えたら、

親しくしてくれたあの頃のお礼を言いたい。


もし会えるなら、

私たちが笑顔で会える晴れ舞台みたいなところで

会えるといいよね。

4/10/2025, 6:26:57 AM