のぞみ

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夜明け前


小学2
年生、夜明け前、ナオヤは私に言った。


「絶対に迎えにくるから。待ってて。
必ずまた君に会いにくる。」


「本当に?本当に迎えに来てくれる?」


「あぁ、約束だ。待っててくれる?」


待ってるよ。待ってる。


小学2年生だった私たちは涙ながらにお別れをした。




私達は幼なじみだった。
お互い親は仕事ばかりで私達のことなんてどうでもいいんだ。
子供ながらにそう思ってたから親に泣いたりわがままを言ったりはできなかった。
でも、幼なじみのナオヤだけは私と同じ境遇にいてナオヤといる時だけは楽しかった。

それなのに・・・・・
ナオヤの母親が引っ越すと言ったらしく、ナオヤも当然ついていく。
だから私たちは離れ離れになった。




だけど、君は迎えに来てくれないね。
あれからもう7年も経っちゃったよ。ナオヤ。
お互いもう高校生だよ。


ナオヤは今どこで何をしてる?
小さい頃の約束なんてナオヤの中でなかったみたいになってる?


でもね、ナオヤ。
私はあの頃からナオヤのことを忘れたことは一度もなかったよ。
だからさ。もう一度会いたいよ。



会いたいよっ!ナオヤ。


「会いたいよ・・・・・・・」





「会いに来た。迎えにきたよ。遅くなってごめん。」


えっ?ナオヤ?


少し大人びた、でも小さい頃から変わらないナオヤの声が後ろから聞こえた。



ナオヤっ?


後ろを振り向くと微笑んだナオヤが立っていた。




「遅くなってごめんね。」


「っ!ばかっ!おそいよ!待ってた。ずっとずっと。」



「うん。」




涙を流しながら抱きしめ合った。




ありがとう。また私の前に来てくれて。

                      end


9/13/2023, 11:22:31 AM