みりん

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可視化されているようなそれは、
私の周りを這い、流れた。

昨日からのような気もすれば、
数年前からのような気もする。

私はそれがなにかよくわからないし、
全て知っている。

言葉に出来ないというのは錯覚である。
目も耳も何もかも、騙されている。

私を突き動かすこれは、
私の周りを這い、流れるこれは。

「溢れる気持ち」



ここから1歩も動けない。

ひとつも取りこぼしたくはない。
これは全て私のものである。

声に出してはならない。
これは全て私の責任である。

誰にも知られてはならない。
これは全て私の気持ちである。

いかにもな、私の溢れる気持ちである。

「溢れる気持ち」



好きだった。
溢れるほど、この気持ちは全て露呈していた。

きっと伝わっていたはずだ。
そこまでに問題はない。

そこからが問題だった。
こぞって皆が私の気持ちを助長した。

表面張力には限界がある。
私の気持ちが溢れるのは時間の問題だった。

元の気持ちは今は雨にでもなっているだろう。
今は、溢れるほどの気持ちは、ない。

「溢れる気持ち」

2/5/2023, 12:56:48 PM