①
可視化されているようなそれは、
私の周りを這い、流れた。
昨日からのような気もすれば、
数年前からのような気もする。
私はそれがなにかよくわからないし、
全て知っている。
言葉に出来ないというのは錯覚である。
目も耳も何もかも、騙されている。
私を突き動かすこれは、
私の周りを這い、流れるこれは。
「溢れる気持ち」
②
ここから1歩も動けない。
ひとつも取りこぼしたくはない。
これは全て私のものである。
声に出してはならない。
これは全て私の責任である。
誰にも知られてはならない。
これは全て私の気持ちである。
いかにもな、私の溢れる気持ちである。
「溢れる気持ち」
③
好きだった。
溢れるほど、この気持ちは全て露呈していた。
きっと伝わっていたはずだ。
そこまでに問題はない。
そこからが問題だった。
こぞって皆が私の気持ちを助長した。
表面張力には限界がある。
私の気持ちが溢れるのは時間の問題だった。
元の気持ちは今は雨にでもなっているだろう。
今は、溢れるほどの気持ちは、ない。
「溢れる気持ち」
2/5/2023, 12:56:48 PM