あめめ。

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海の底

あなたに会えない長い間、直前にあなたから言われた
言葉が衝撃的で、ずっと頭にこびりついて、心から
離れてくれなくて。
あなたに会えなかった間、何もできなくなるぐらいに
心に深く刻みつけられた言葉が何をするにも邪魔を
してきて、何だか起きているのも億劫で、ずっと毛布に包まれていた。その間、ずっと悲しくて、寂しくて、苦しくて、でも自業自得でどうも出来なくて、
身体中から熱が失われたようで、泣きたいのに
泣けなくて。身体と心、どちらも海の底に投げやった
気分だった。いや、あのときのわたしなら比喩なんか
じゃなく本当に海の底に自分を投げやってしまいそうな雰囲気だった。だいすきな彼の一言でこんなに
悩んで、苦しんで、悲しんで。こんなことになって
しまうなんて、と自分でも思うほどにわたしはダメに
なってしまっていた。
そして、久しぶりにだいすきな彼にあった日。
わたしはきっとまた冷たくあしらわれて終わりだろうと思いながら友達と話をしていた。そして、彼がやってきた。どうせ、わたしに挨拶なんてしてくれないんでしょ。なんてひねくれたことを思いながら彼を
見つめる。彼は、めずらしく朝にしては機嫌がいい
明るくわたしがだいすきな声で、
「2人ともおはよう」
そう言ったのだった。あれ、意外と普通だ。てっきり
避けられるのかと思ってた。挨拶されて最初にそん風に思うなんてひねくれすぎてるな。なんて自分でそう
思う気持ちと同時に、あぁ、よかった。挨拶してくれた。わたしはまだあなたに関わっていていいんだ。と
嬉しく思う気持ちが湧いてきた。
彼はあの日、わたしに言った言葉をまったく気にしていない様子だった。
なんだ、なんだ、ずっと気にして引きずって、わたしが勝手にダメになってただけか。彼はなにも気にしてないや。あぁ、わたしバカだな。
そう思った途端、海の底にあったわたしの身体と心は
すこしだけ明るいところに浮き上がった気がした。
まだ抜け出せそうにないけれど、前よりは明るいところで漂うわたしの心。いつか、あなたが気づいて、
眩しい青い空の下まで、引き上げてくれますように。

1/21/2024, 1:25:18 AM