たくみ

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 植物はその一生のうちに二種類の成長をする。
 一つは「自身の体を大きくするため」の成長、もう一つは「種となる実を育てるため」の成長。

 「自身の体を大きくするため」の成長は、種から芽が出て植物が背を伸ばしながら成長し、開花をするまでの過程。
 「種となる実を育てるため」の成長は、結実のち生熟し、実が熟成されるまでのこと。
 そして最後には実が種になり、次の世代へと繋ぐ。

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 植物は声に似ている

 学生の遊びや部活動に励む、元気な声
 期待を胸に社会へ出たときには、溌剌とした声
 
 公私ともに実を結べば、自信や責任のある声にもなり
 経験を教える立場ならば、やわらかい声や厳しい声にもなる

 いろいろな人が、さまざまな立場で、それぞれの声を出す
 
 けれど、最後には声は消える
 
 誰かがどこかで聞いた最後の声
 それが種になり、その人の中で眠り続ける

 その種が何に成長するかは、まだ誰も知らない

 そんな声の一生


『声が枯れるまで』

10/21/2024, 7:03:38 PM