『これ、くださいっ!』
声のする方を向くと、机からのぞかせる手がひとつ。カウンターよりも背丈が小さな少女の、小さな手に、キラキラと磨かれたコインが握りしめられていた。
『はいよ。お嬢ちゃん、これはつかみどりだ。
この瓶の中に手を突っ込んで、なるだけたくさんつかむんだよ?』
少女は自身の小さな手を、瓶の中でめいっぱい開いて、つかむ準備をする。店主も今か今かとじっと見守った。
『つかんだぁ!!…わっ!』
ぎゅっと掴んだ甘い星は、手のひらからポロポロとこぼれおちた。
3/15/2024, 1:19:55 PM