27(ツナ)

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君を照らす月

中学生の頃は多感な時期だと大人はよく言う。
多感が何なのかよくわからないけど、なんとなく面倒だとか複雑だとかそんな感じだろう。
その多感っていう病気なんだろうか。
俺は同級生に気になる奴がいる。俺と同じ性別。この「気になる」っていう気持ちも正直よく分からない。
気づくと目で追っている。ただそれだけ。

色々むしゃくしゃして家を飛び出した、ある満月の夜。行く宛てがなくて家の近くをただ彷徨っていた。
「わ!変質者だ!」
と、突然後ろから声をかけられてビクッとした。
あいつだった。
「…お前、こんな夜中に何してんだよ?てか、変質者じゃねぇし。歩いてただけだし。…なんでいんの?…って、ちょっ!」
無言で俺の手を引いてどこかへ連れて行く。
着いたのは近くの公園にある高台だった。
来いと言わんばかりに台の上に登る。
自然と俺も隣に腰掛けた。

「みて、月。満月。」
俺に向かってそう言うとすぐ月に視線を戻した。
チラっと月を横目で見て、俺は月に照らされたその横顔を見た。
多感の病気だ。
心臓が苦しくてドクドクする。
この病気が早く治りますように、俺たちを照らす大きな満月に向かって願った。

11/16/2025, 11:31:11 AM