いぐあな

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300字小説

転生人生

 父が失脚し、王子から婚約を破棄されて、私は思い出した。自分が別の世界の遠い未来から転生したことを。
 辺境へと追放される馬車の中で謝る父と宥める母、着いた先の生活を本で調べる兄、元気つけようと明るく振る舞う妹を見て拳を握る。
「私も皆の為に思い出した前世の知識を生かすわ」

 あれから数年が過ぎた。慣れない田舎暮しに戸惑うことも多かったが、家族と元気に暮らしている。
「今日は果樹園の収穫よ」
「はい。お姉様」
 前世、私は閉鎖都市で人工子宮で生まれた。管理されながら育ち、卵子を提供する歳になったとき、事故で死にこの世界に来たのだ。
 家族との暮らし。地に足の着いた自由な生活。
「日々、やりたいことに満ち溢れて幸せだわ」

お題「やりたいこと」

6/10/2024, 12:03:45 PM