「届かぬ想い」
あの人は突然姿を消した。
憧れという幻だけを私に残して、
ぱっといなくなってしまった。
蜃気楼のようにのびあがったそれは、
追いかけても追いかけても近づくことは無く
それどころか遠のいていく気さえする。
あの人のように、あの人のようになりたい。
虚空の果てを目指すように、
解けない方程式を解くように、
無いものをひたすら追い求めるその傍らで、
きっとあの人は今もどこかで何気なく
生活をしているのだろう。
そう思うと、やるせなさと安堵が混じったような
そんな気持ちをぶつけたくなるが
そんなもの、あの人の知ったことでは無い。
4/16/2024, 8:59:27 AM