真岡 入雲

Open App


人の中にいると酷く疲れた。
それは家族といる時も一緒で、リビングでの家族団欒とか私にとっては地獄でしか無かった。
その表情ひとつ、言葉ひとつ、行動ひとつ、それだけで私の頭の中は計算を始める。
何を?
そんなの私が知りたい。
あぁでもない、こうでもない、と色々と計算した結果、脳が、心がショートする。

考えなければいい。
私もそう思う。

気にする必要ない。
そうなんだろうね、きっと。

いつも通りで良いんだよ。
いつも通りって?

唯一の心の休まる場所は、本の中。
漫画、小説、絵本、図鑑、辞書、詩集、写真集。
本であれば何でも良かった。

小中高、そして大学と自分を騙し騙し生活を送ってどうにか卒業して、就職は一度したけれど続かなかった。
母方の祖父母の家が空き家となっていたから、逃げるようにそこに飛び込んだ。

田舎の海の見える家。
周りには民家もなくて、お隣さんは車で10分の距離。
生活は不便そのもの。
スーパーもホームセンターも病院も役所も全部が遠い。
車で片道30分、往復1時間。
でも世の中便利なもので、大きな冷蔵庫と冷凍庫があれば週一回の買い出しで十分暮らせる。
家は広く部屋は余りまくってるから、生活雑貨もストックし放題。
車は軽バン、維持費が節約できて、買い出しの荷物をいっぱい積み込めるのを選んだ。

週に一度の買い出しで、食料、生活雑貨、その他諸々を冷蔵庫と冷凍庫、ストック部屋に収納する。
後は基本的に家で過ごす。
投資とweb関連の仕事、後は親、兄弟、親戚のツテで依頼される翻訳業務で何とか生活費を稼いでいる。
残りの時間は読書と、趣味の小説を書いてネットに投稿している。
本はネットでポチッと購入。
6部屋ある空き部屋のうち、2部屋が書庫と化している。

人との繋がりが嫌な訳ではない。
ただ、対面でいると苦しくなってしまう。
チャットやメールであればそれが軽減される。
だから、家族とも電話ではなくチャットかメールでやりとりをする。
誰かと声を出して話すことは、私の世界には必要じゃない。
誰かと目を見て話をすることは、私の世界には必要じゃない。
誰かと共に食事をすることは、私の世界には必要じゃない。

これが普通ではないのは、十分過ぎるほどにわかっている。
両親も兄弟も親戚も、今まで私と出会った人達も皆、気を使ってくれていた。
普通になれるよう、努力はした。
どうすれば良いか分からなくて、色々調べて、試してみて、その分だけ苦しさが増した。
周りの優しさが、期待が、気遣いが、私を孤独にさせていく。
その事に気付いた人が苦しむことで、余計私は苦しくなる。

人の中にいると、私は苦しくなる。

『だから、一人でいたい。』

私が私であるために、私らしく生きるための唯一の我儘を、どうか許してください。



━━━━━━━━━
(´-ι_-`) 一人が好きデス。


8/1/2024, 3:16:17 AM