駄作製造機

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【たった1つの希望】

20X X年。

5年前に政治が崩壊してからの日本は、廃れていた。

物価高、政治家の暴走。

日本経済は地に落ちたまま回復することはなく、むしろ悪い方向へと進んでいった。

それでも国民達は知らないフリをし、顔すら見えないSNSで政治家を叩く。

そんな中、千葉県在住の1人の会社員は冴えない毎日を過ごしていた。

『はぁっ、、物価高でトイレットペーパーもろくに買えねえよ、、』

ベッドにダイブし、タプタプとスマホに何かを打ち込む。

"物価高で生活必需品もろくに買えねえ。世の中クソ。"

Twitterにつぶやきを投稿し、男は寝落ちした。

ピコンッ

深夜、彼のスマホが人知れず鳴った。
アイコンはTwitterだった。

ーーーーー

ピピピピッ

スマホのアラームを半醒半睡のまま止める。

『ぐああぁっ、、キツイ、』

何とか立ち上がり、布団を機敏に畳む。

目向け覚ましのコーヒーとニュースをつける。

今日も今日とて、政治家いじりか、、

コメンテーターの煽ったような口調に苦笑いを浮かべながら、パンとコーヒーを飲む。

そして満員電車に揉まれながらも会社へ。

俺は何気ない日常をすごすただの会社員だ。

そう、、会社員のはずだった、

朝、エレベーターに乗った瞬間からいやーな予感がしていた。

何か俺にとって良くないことが起こるのを肌で感じた。

案の定、いつもの席に座ろうとした時、上司に呼ばれた。

嫌な予感はMAXに達した。

会議室。

外の喧騒が微々聞こえ、鼓動音も増していく。

会議室はシンと静まり返っている。

1人仕事を普通にやっている会社員の俺と、1人人事部の上司。

瞬間、俺は全てを悟り絶望した。

ーー

1人、昼に会社を出る。

手にはダンボール。

最悪なタイミングとしか言いようがないだろう。

俺は会社を首になった。

経費削減のため解雇されたのだ。

『クソッ、、』

今あるのは、何で俺が!という自信ある人が言う言葉じゃなく、嗚呼やっぱこうなるか。みたいな客観的な思考だった。

俺は普通の会社員。

営業部のエースじゃないし、位が高い上司でもない。

切り捨てられるのは当然。

虚しくなり、公園のベンチでスマホを開く。

1件の通知が来てる事に気づき、Twitterを開く。

昨日投稿した何気ない言葉に、返信が来ていた。

"じゃあお前が世の中変えろよ。どうせできねえくせにネットでイキんな。"

よくあるコメント。

ネットではあるよ。こういう正義感ぶった人のコメントが。

わかってる、頭の中では。

でも、、見るタイミングを完璧に間違えた。

今じゃなかった。

心ないコメントは、俺の心にズッシリとのしかかった。

家に帰り、着替えずにスーツのままベッドにダイブする。

さすがにアパートだから暴れるのは良くない。

枕に顔を埋めながらバタバタと叫ぶ。

そして俺はそのまま寝落ちしていた。

ーーー

朝。

久しぶりに昼過ぎに起きた。

特にやることがなく、お風呂に入って昼食をとった。

突然の解雇に現実が受け入れられないのか?

いや、頭はいたって冷静。

テレビをつける。

あっているのは選挙報道だった。

もうやらなくていいだろ。

クソみてえな政治家しか集まらねえんだからよ。

そう思いつつ、頭の隅ではあのコメントがループしている。

日本政治を立て直すのは、今しかないのか?

かといって、俺にそれができるのか?

中はんかな気持ちで務まるわけがない。

でも、、やらないよりマシじゃないか?

中3の県予選大会、俺はバスケ部に所属していた。

点差は一向に縮まらず、スタミナももう限界。

そんな時、監督が俺達に言った。

『おいお前ら!もうへばるつもりか!出し切らないで負けるのと出し切って負けるのでは違うんだぞ!!』

結局、俺達は予選で敗退したけれど、高校受験の時も、
大学受験のときも、監督の言葉を胸に頑張って来た。

そうだ。

やらない後悔よりやって後悔だろ。

あのコメント主をギャフンと言わせてやる!!

俺の胸に、小さな炎が宿った。

彼は衰退してしまった政治を立て直す、たった1つの希望だ。

立候補してくる輩はおふざけ系YouTuberや真面目にやってない者ばかり。

彼が、希望だ。

そんな彼の波乱な第二の人生が、幕を開けた。

3/2/2024, 12:07:27 PM