君は可愛い。とても可愛い。
そう何度も繰り返してるのに、卑屈な彼女はどうしても信じてくれない。
「あんたってモンシロチョウなの?」
なんて言われるような始末だ。
意味がわからず僕が首を捻っていると、彼女は呆れたように付け加える。
「モンシロチョウには紫外線が見えるんだって。それでオスメスの区別が簡単にできるって、本に書いてあった」
その説明に僕はなるほどと頷く。つまり、僕は普通の目をしてないと言いたいわけか。
彼女は博識で可愛い。顔からはみ出しそうな大きな眼鏡、いつも抱えている本。それが彼女の目印だ。
一人図書室に通うのが日課の彼女と、こうやって話せるようになるまで約一年。ようやっとここまで来たのに、まだ僕らの間には距離がある。
「紫外線が見えたら面白いかもね」
それでも僕は諦めない。
彼女が自分のことをもっと好きになってくれるまで、僕はずっとずっと彼女を褒め続けるのだ。
5/10/2023, 11:21:51 AM