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 おかしいな、と仕方なく目を覚ます。どうにも部屋が明るくて、せっかくの日曜日だというのに二度寝ができないのだ。

 電気はもちろん完全に消している。だが、目を瞑ってもなんだか眩しくて、かといって窓の方へ目をやってもカーテンはしっかりと閉められていた。以前はもっと寝心地が良かったのに。

 よっこらせと重たい体を動かし、洗面台へと向かう。未だに処分していない彼女用の歯ブラシが自分の歯ブラシと隣同士で立っていた。歯ブラシの処分方法なんて知らないし、そもそもまだ使えるし。そんな言い訳を並べながら、目を覚まそうと冷水を顔面にぶっかける。

「……アイ」

 もうここを出ていった彼女の名を口にする。まだ目は覚めていないようだ。

 部屋に戻り、キッチンとリビングが一緒になったワンルームを眺める。あのフライパンは料理好きな彼女が選んだもので、多機能な冷蔵庫もそうだ。やたら色違いが多いお皿やコップも、お揃いがいいねと一緒に買ったもの。

 ……ああ、そうだ。あの薄いカーテンも、彼女が選んだんだ。彼女が隣にいるだけでぐっすり眠れていたあの頃を思い出す。

 今ではもう、隣で一緒に寝転んでくれる彼女がいない。僕はただ、薄いカーテンごと目を突き刺してくる鋭い光に指を刺されるしかなかった。

10/12/2023, 3:28:22 AM