寂しさ
私はずっと一人で、
この世に存在していた。
例え、寒さに震える冬でも。
寂しさを感じた事など、
一度も無かった。
孤独は、ただ背中に、
冬の冷たさを纏わせるだけ。
それが私にとって、
当たり前のことだったから。
でも、貴方と出会った。
隣に誰かが居るという事、
肩を寄せ合う喜びを知り、
冷たい手を包む温もりを覚えた。
しかし、貴方は去っていった。
その時、心にぽっかりと穴が空いた。
それは、木枯らしが吹き抜ける様な、
酷く冷たい、空虚な感覚。
それが、私が初めて知った、
「寂しさ」だった。
貴方の居ない冬は、冷たくて。
薪を焚べても、毛布に包まっても、
他の人に温もりを求めても、
私の心は、凍り付いたまま動かない。
まるで、氷の彫像の様に。
もしかしたら、この寂しさは、
正論ばかり振り翳して、
言葉の刃で、貴方を傷つけた事の、
罰なのかも、知れない。
それでも、私は私を抱き締める。
嘗て、貴方が私にくれた、
温もりを思い出しながら。
そっと、胸の中の想い出に、
暖かな明かりを灯すんだ。
今はただ、静かな冬の夜に一人。
この凍て付く寂しさを、
私はそっと包み込む。
12/20/2024, 7:57:37 AM