Thea

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雨といえば、弓道部の最後の大会を思い出す。
ひどい記憶。

あの日はひどく土砂降りで、傘を差しても道着が濡れた。
私は補欠だった。
大会には、出られなかった。
何かに、怒っていた。
どうして怒っていたのかは、もう思い出せない。
それでもただ、憎かった。

あの日降っていたのが、柔らかい雨だったなら
顔が濡れることもいとわずに、受け入れて、みんなを応援できるような
そんな雨だったならば

こんな記憶にはならなかったのに。

私が怒っていたのは、過去の自責でも、恨みでもない。
団体戦は、5人でひとつ。流れも、中りも、ひとつになってチームとして成功する。それがわかっていたから、他のなにより、弓道そのものに拒絶されたことが悲しかった。
弓道は私を待ってくれなかった。私も弓道が嫌いになった。
そこに立つべきは私ではないと知りながら、これまでの時間がそこに立ちたいと思わせるから、私は怒るしか仕様がなかった。
仲間と呼ぶべきだった人達を、私はどんな目で見ていたのだろう。
いつか、あの日の私が救われますように。

11/6/2024, 1:38:31 PM