まにこ

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「これ、あげます」
突然降って湧いた不審者と呼ばれても仕方ない私のことを兄と慕ってくれるこの子。
照れ臭いのか視線はこちらに向けられないものの、手はしっかりとこちらに突き出していた。
「……花?」
「そうです、私の大好きな花」
ん、ん、とぐいぐい向けられた一輪の花は淡い桃色に色付いていた。
「ありがとう、とっても嬉しいよ」
心からまろびでた感謝の言葉。
誰かから常に殺意を向けられていた私にとって、それはあまりにもあたたかくて、やさしいものだった。

後に、それが彼なりの私へのプロポーズだったのだと知ることになるがまだそれは大分先のこと。

2/25/2025, 3:47:03 AM