とある恋人たちの日常。

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 俺がこの都市に来なければ、どうなっていたんだろう。
 もしも君がこの都市に来なければ、どんな未来だったのだろう。
 
「ばぁぱ」
 
 どすんとお腹に重さが加わる。深く入らなかったからまだ良かった。入ってたら悶絶していたな。
 お腹には俺の……俺たちの天使の大きな瞳が俺を捉えていた。
 
 愛しい彼女がこの都市に来ていなかったら。
 俺がこの都市に来ていなかったら。
 
 この愛らしい天使とは出会えていないんだ。
 
「ぱぁぱ?」
 
 俺があまり反応しなかったからか、天使が不思議そうな顔をして首をかしげている。
 
 俺は天使の身体を抱き寄せてから、頬寄せてグリグリと頬ずりした。
 
「きゃあっ」
 
 キャッキャと楽しそうに笑い声をあげてくれる。
 ああ、本当に可愛い。
 
「どうかしましたか?」
 
 愛しい彼女が三人分の飲み物をトレーに乗せて持って来てくれると、お腹に乗っていた天使が身体を起こして彼女の元へ向かってしまった。
 
 ああ、こんな気軽に離れられちゃうと、パパは寂しいですよー。
 
 彼女はテーブルに飲み物を置くと、天使を抱きしめる。
 
 もしも……なんて、考えること自体意味がないな。
 
 俺は愛しい家族を見守りながら、そんなことを考えた。
 
 
 
おわり
 
 
 
三九四、もしも君が

6/14/2025, 2:40:52 PM