「もしも未来が見れるなら、見る?見ない?」
目の前に突然現れたその人は、同じく突然そんなことを聞いてきた。
もしも未来が見れるなら?
正直、とても見たい。
でも同じくらい怖い。
望んだ未来がそこにあったら嬉しい。
でも、反対にとても悲しい未来が広がっていたら辛い。
どちらの可能性もある。
「私は……」
もう一度考える。
どちらの選択肢も私の中にはある。
見たい気持ち、見たくない気持ち。
それでも私が選ぶのは────
「見ない」
そう答えた私を、その人は不思議そうに見つめて首を傾げた。
「本当に見なくていいの?」
「見ない」
「どうして?」
「見たとしても、見なかったとしても、私がこれから頑張ることは変わらないから」
「でも、見てみて、もしその頑張りが報われないって分かったら、もっと違うことに時間を使えるよ?」
「未来って確定?」
「え?」
本当に予想してなかってのか、驚いた顔がそこにあった。
「私は未来は確定じゃないって思う。だから、もし望んだ未来がそこになかったとしても、私はこれからもっと頑張って、望んだ未来を手に入れる!
それなら、見ても見なくても変わらない。
だから見ない!!!」
自分で言って、決意も固まった。
私の未来は、今の私がこれから作る。
「そっか」
風が吹いて目をつぶった一瞬の間に、その人は消えていた。
4/19/2024, 2:59:25 PM