林檎ノ

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にやー、にやー
子猫が鳴ゐている、
腹が空いたのかと餌をやる
足に擦り寄り
餌に見向きもせず頬擦りをする。
とても人懐つこい猫だ、

「うちにも似たのがいたんだ、お前さんはあいつの子供かなにかかね」
誰にも聞こえぬやうな小声で呟く、
(違うさ、)
どこからか声が聞こえた気がした
きっと隣の家の悪餓鬼が悪戯をしたのだ。
子猫はまん丸の瞳で心を覗くかのやうに
じー、と見つめてゐる

幸い家にはまだ餌や寝床がある、
うちにいた奴のものだが捨てるよか良いだろふ
まあ、これも何かの縁だ
「もし暇ならうちへ来るかい?」
まってましたと言わんばかりの飛び付に
腰を抜かせてしまった、
(ただいま、)
また、声が聞こえた
きっとあいつがお天道様の膝元でこちらを見ているのだ、
私は寂しくなどなゐ
今日からは、独りじやないのだから。

11/15/2023, 2:20:32 PM